山田詠美の表現抑圧への怒り(伊藤氏貴)

(山田詠美が書いた小説の主人公が)わざわざブログに毎回「私個人の」と断り書きを入れなければならない。「個人も一般論もごちゃまぜにして、誰の目から見ても男と女が平等でなくては駄目ということになった」現在では、女性が男性に組み敷かれるシーンすら許されないという。 (ほかの小説では)より直接的に現在の「PC」すなわち「政治的な正しさ」の混迷ぶりをあげつらう。… 底には一貫して表現の抑圧への怒りが渦巻いている。あとがきに言うとおり、「差別を描くことと、差別主義者であることは、全然違う」のだ。